第1回総合診療研究会学術集会開催報告

平成30年2月24日に,第1回総合診療研究会学術集会を開催し,22名が参加致しました.総合診療専門医制度の開始,地域医療計画の策定,地域包括ケアの導入など,今後,熊本県でも「総合診療」の活動の推進が求められる状況にあります.熊本県内の総合診療関連の活動している熊本大学と地域医療の現場とが中心となり「熊本総合診療研究会」を平成28年度に立ち上げました.以降,家庭医療・総合診療を学ぶ専攻医や,会員向けの勉強会などを定期的に実施しておりましたが,今回第1回目の学術集会開催に至りました.

【開催概要】
日時:平成30年2月24日(土) 9:10〜12:00
場所:熊本県医師会館 3階 研修室
内容:
1. 「基調講演 新しい専門医制度について」
熊本大学医学部附属病院 地域医療・総合診療実践学寄附講座 松井邦彦先生
2. 「DIVERSITY 〜General Practitioner という道〜」
熊本大学医学部 第5学年 溝口朋美さん
3. 「ポートフォリオ勉強会」
熊本大学医学部附属病院 地域医療・総合診療実践学寄附講座 髙栁宏史先生
4. 「優秀ポートフォリオ賞受賞記念講演」
くわみず病院 小林真一先生
5. 「世話人会企画レクチャー」
熊本赤十字病院 膠原病内科 徳永健一郎先生
6. 「総会」
代表世話人挨拶 活動報告など

【内容】
基調講演として,「基調講演 新しい専門医制度について」の題で,熊本大学医学部附属病院地域医療・総合診療実践学寄附講座の松井邦彦先生にお話いただきました.質疑応答では,指導医の要件や内科研修について質問がありました.

学生発表として,「DIVERSITY ~General Practitioner という道~」という題で,熊本大学医学部医学科5年生の溝口朋美さんにお話いただき,イギリスのGeneral Practitionerの現場を実際に見学して感じた・考えたことを発表いただきました.英国GPの仕事内容だけでなく,新たな発見を通して,思考の枠にとらわれないことの大事さについてお話いただきました.また,溝口さんが代表を務める,今年の6月23・24日に熊本で開催予定の「第5回九州・山口 家庭医療・総合診療セミナー」の告知もありました.熊本総合診療研究会でも若い世代が家庭医療・総合診療の分野に興味を持ってもらうように,このセミナーに協力して参りたいと考えております.

「ポートフォリオ勉強会」では,熊本大学医学部附属病院地域医療・総合診療実践学寄附講座髙栁(高柳)宏史先生に,ポートフォリオによる指導・フィードバックのコツ,症例報告とポートフォリオの違いや,ルーブリック評価,などについてレクチャーがあり,今年度4月から開始される日本専門医機構の総合診療専門医研修の経験省察記録のエントリー領域(案)とポイントについてもお話がありました.専攻医の書いたポートフォリオを例に,実際に参加者全員で添削を行い,活発な意見交換がありました.

日本プライマリ・ケア連合学会家庭医療専門医試験で,2017年度の優秀ポートフォリオ賞を受賞されたくわみず病院の小林真一先生に,「優秀ポートフォリオ賞受賞記念講演」でお話いただきました.BPS(Biopsychosocial)モデルで,生物学的部分だけでなく,BPSモデルの焦点を心理学的側面にアプローチし,本人の気づきを促す仕掛け作りをすることで,アルコール依存で崩壊寸前の家族に対し,BPSモデルで再び幸せな家庭を取り戻せた一例を,小林先生のユーモアを盛り込みながらお話いただきました.

「世話人企画レクチャー」として,熊本赤十字病院膠原病内科の徳永健一郎先生に,関節痛をテーマに,徳永先生の「関節痛マインドマップ」で,Onset,分布,炎症の有無,随伴症状を切り口に,忘れてはいけないポイントなど,参加者全員で共有しながら,レクチャー頂きました.質疑応答では,関節痛かどうかの見分け方などの質問がありました.

最後に「総会」を行い,活動報告や会計報告等を行いました.会員から,新専門医制度開始に伴う,プログラム間合同の専攻医・指導医の勉強・交流の機会の設置についてご意見がありました.今回第1回目の学術集会開催となりましたが,これを機に年々発展させ,熊本における総合診療を後押しする活動にしていけたらと考えています.今後とも,熊本県内の多くの実地の先生方,医学生のご参加をお待ちしております.最後にご参加いただきました皆様,開催にあたりお世話になった関係者の皆様に御礼を申し上げます.